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 関ヶ原の戦いを1分で片付けた「超高速関ヶ原」など、脚本家・三谷幸喜氏による驚きの演出で「大河ドラマの歴史を変えた」と評された『真田丸』がいよいよ最終回を迎える。そんな話題作の後を継ぐ2017年のNHK大河『』のスタッフのプレッシャーは大きいだろうが、前評判は上々だ。

「戦国時代のドラマには珍しい女性武将・井伊直虎をクールな柴咲コウさんが演じるというのは興味深い。舞台設定が異色だけに、『真田丸』以上に斬新な展開を期待します」(テレビ誌記者)

 ところが、放送まで1か月を切ったこのタイミングでドラマの根幹を揺るがしかねない歴史資料の存在が取り沙汰されている。何と実在の直虎は「おんな城主」ではなく、「男」だったというのである。

「ドラマと史実が違うのは別に悪いことではないと思っているんです。だから、大河ドラマが間違っているなんて、野暮なことを言うつもりもありません。でも、ドラマはドラマ、史実は史実として分けて考える必要がある。だから僕は史料の存在を明らかにするのです」

 そう語るのは、井伊家ゆかりの美術品などを保存・展示する井伊美術館(京都)の井伊達夫・館長だ。井伊家末裔でもある達夫氏は、井伊家が当主を務めた彦根藩の記録を調査し、「直虎は、女ではなく男だった」との結論に至ったという。

 大河ドラマの主人公ながら、井伊直虎に関する史料は極めて少ない。そこでNHK公式サイトにある大河ドラマの「あらすじ」をもとに、これまで伝えられてきた直虎の人物像を紐解いてみると──。

 直虎は遠江(現在の静岡県西部)の北部にある井伊谷(現在の浜松市北区)の領主・井伊直盛の娘として生まれた。生年も幼名も不明とされている。

 出家して「次郎法師」を名乗るものの、相次ぐ戦争や謀略によって家督を継ぐ男たちが次々と命を落とす中、井伊家を守るために還俗(出家した者が俗人に戻ること)。「女城主」として直虎を名乗り、唯一生き残った井伊家の幼い男子を守りながら再興を目指す──というもの。

 ちなみに「直虎が育てた男子」とは、後に徳川家康に重用されて「徳川四天王」の一人に数えられた井伊直政。関ヶ原の戦いなどの戦功により彦根に領地を与えられ、彦根藩の初代藩主となった戦国武将だ(江戸時代末期の「安政の大獄」、「桜田門外の変」で知られる井伊直弼は彦根藩第15代藩主)。

 こう紹介すれば、江戸時代まで続く名門・井伊家の窮地を救った「女傑」の物語に俄然興味が湧いてくる。

 だが、この“壮大な歴史物語”を井伊家末裔が、「史実ではない」と否定したのだから驚くほかない。

>>2以降に続きます


※週刊ポスト2016年12月23日号

2016.12.12 07:00
http://www.news-postseven.com/archives/20161212_474614.html
2:2016/12/12(月) 18:23:58.89 ID:
>>1の続き

◆「ドラマチックにしないと」

「井伊直虎が『次郎直虎』を名乗っていたこと、そして井伊直盛の娘に出家して『次郎法師』となった女性が実在したことは明らかなのですが、“次郎法師が井伊直虎になった”ことを示す史料は存在しない。にもかかわらず、2人の『次郎』が同一人物だと一部の歴史家に誤解されてしまった可能性が高いのです。

 次郎直虎と次郎法師を同一人物とした場合、説明が成り立たなくなる文献もある。さらに、次郎法師が幼い直政を育てたという(大河の)ストーリーも明確な根拠は存在しません」(達夫氏)

 そして達夫氏が調査中の文献(彦根藩の記録)によると、「次郎直虎」なる人物は井伊家の家系図に存在せず、「少なくとも井伊直盛(次郎法師の父)とは関係のない男性だった」(達夫氏)とも言うのである。

 文献の詳細、つまり「次郎直虎の素性」については「最終的に調査をまとめてから発表したい」(達夫氏)として多くを語らなかったが、11月発刊の『井伊直虎完全ガイド 直虎の真実100』のインタビューでは、

〈(次郎直虎は)ごく短い期間、井伊家の実質的な支配者となった人物なのです〉

 と、謎の一端を明かした。これらの「新史実」が明らかになれば、大河のストーリーにも影響が出かねないように思えるが──。

「大河ドラマスタッフの偉い方が僕の美術館に来た時に、ストーリー作りは“想像に頼る部分が大きい”という話をされていました。やはりドラマにするなら脚色してドラマチックにしないといけない。

 繰り返しますが、ドラマはドラマとして描けばいい。史実を解き明かすのは研究者の仕事と責任で、ドラマ制作者ではないのです」(達夫氏)

 また、達夫氏が発表する史料がすぐに「歴史的事実」と認定されるわけでもないようだ。『時代考証学ことはじめ』の共著者で、本誌でコラム「時代劇を斬る!」(~2015年4月)を連載した安田清人氏はこう語る。

「井伊次郎直虎が男だという説は以前からあったのですが、研究者によって説は違う。逆にいえば“直虎が女性だった”ということを示す決定的な史料が存在しないことも事実です。まずは発見された文献の内容を見なければ分かりませんが、複数の研究者による精査が必要ですから、史実かどうかを確定するにしても相当な時間を要するでしょう」

 NHKに訊ねると「ドラマはあくまでもフィクションです。1年間、視聴者のみなさまに楽しんでいただける大河ドラマを制作して参ります」(広報局)との回答だった。あるNHKドラマスタッフもこう明かす。

「今年の真田幸村も実は幼少~青年期の史料は極めて少ない人物でしたが、だからこそ『真田丸』では三谷さんの演出の自由度が広くなって面白さが増した。それに“史実と違うんじゃないか”という議論は、ドラマの関心が高まるので、実はネガティブな話題じゃない。その点で言えば、史料が乏しい直虎は“美味しいキャラクター”なんです」

 どうやら史料が明らかになったとしても、ストーリーの変更はない模様。まァ、“おとこ城主直虎”では、誰も観てくれないのは間違いないが……。
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